コストダウンの余地を残した設計

 

設計を一旦フィックスしても、更なるコストダウンを思いつく時がある。

思いついたコストダウン方法を反映して、再度設計をやり直すのが正論であろうが、はたして実際にはどうすべきか?

 

時間的制約がある場合、再設計することができない。

コストが目標を上回っており、時間もあるのなら、再設計すべきであろう。

 

では、コスト目標を達成しており、再設計の時間もある場合、どうしたらよいだろう。

私の考える正解は、「設計はそのままフィックスしておき、思いついたコストダウンを別途に詰める」である。つまり、コストダウンの余地を残した設計をしておき、別途コストダウンを検討しておくのだ。

 

将来、コストダウンの要求が必ず出てくる。社内から出る場合もあれば、納入先である社外から出てくる場合もある。経験曲線効果によるコストダウンという考え方もあるが、それだけに頼るのはリスクが高い。うまいコストダウン方法を発想できたら、将来のコストダウン要求に備えて温存しておくのだ。

 

納入先からコストダウンを強く要求され、泣く泣く利益を縮小してコストダウンなんてことは多々ある。

そうならないためにも、コストダウンのネタを温めておき、要求が合ったらすぐに対処できるようにしておくことも必要だと思う。 ズルい方法かもしれないが・・・。

貪欲に新しい知識を得よう

 

技術の世界は日進月歩で、次々に新しいモノが生まれる。昨日の最新技術が、明日には古くなってしまう。

そんな中で、日々の忙しさにかまけて新しい知識を吸収しないでいると、気が付くと過去の人、なんてことになりかねない。

 

もちろん会社でも、社内や社外の講習やEラーニングといった学習の機会は与えられるだろうし、日々の業務においても新しい知識-技術を身に着けることはできる。

しかし、それで十分だろうか?

会社からの指示や推奨による講習-学習、または業務において得られるものは、あくまで与えられたものである。当然その内容は、会社の業務遂行目的が最優先で、本人のためとは限らない。

 

テーマは自分で探す世の情勢を見て、将来を予測し、自分に必要と思われる知識を見つけるのだ。運悪く会社がその事業から撤退しても、さらに万が一会社が消滅してしまったとしても、自分が何かを持っていれば強みになる。

知識を吸収する方法は、色々ある。講習受講、セミナー参加、展示会見学、業界誌購読、書籍購入、インターネット利用、等々たくさんある。場合によっては、会社に自己啓発の一環として申請し、費用を負担してもらうことが可能かもしれない。

総括(評価・反省)の重要性

 

作家の保阪正康氏が「戦争に関して総括が行われていない」という話をしていた。

「戦争反対」とは言っても、「なぜ戦争をしたのか」という総括がされていない。感情論だけで、教訓を得られていないというのだ。

物事の総括をしないというのは、日本の特質なのだろうか。イラク戦争に加担したことにおいても、その理由とされた大量破壊兵器は存在しなかったにも関わらず、反省もされず責任も問われていない。

 

ではこれが、技術の世界ではどうなのだろうか。

何か新しいモノを開発したり、新しい方式を試行した場合、その結果について正しく総括されているだろうか。うまくいったこと、うまくいかずに変更を加えたこと、それでもだめで諦めたこと、これらを評価・反省し、都合の悪いことも全て正確に記録しておく必要がある。

やりっぱなしで終わったり、失敗を隠して記録したりしていては、ノウハウが蓄積されない。失敗を記録しなければ、次にまた同じ失敗を繰り返す可能性がある。失敗に学ぶのが教訓なのだ。「失敗は成功の基」なのだ。

 

何か新しい試みをしたら、それが失敗であっても、成功した場合も美談だけでなく試行錯誤も含めて総括し、正確に記録しておくことが重要である。

国際単位系

 

日経BP/ナショナルジオグラフィックに「国際単位こばむ米国市民社会 メートル法よりヤード・ポンド法」という記事があったので、単位について調べてみた。

世の中では、実に多くの単位が使われている。

 

長さの単位では、メートル法ヤード・ポンド法尺貫法、天文航海などの単位系があり、それぞれの単位系が多くのの単位名を持っている。

メートル、オングストローム・・・(メートル法)、インチ、フィート、マイル・・・(ヤード・ポンド法)、寸、尺、里・・・(尺貫法)、光年、パーセク・・・(天文)、海里、ファゾム・・・(航海)等など、ほんの一例だが列挙できる。

 

SI国際単位系が、メートル法を基本として制定されているが、なかなか統一されない。それぞれが、これまでの経緯をもっており、使い勝手意識の問題から簡単には統一できそうにない。

例えば、基板に実装されるICやコネクタのピッチの多くは、ヤード・ポンド法の0.1インチ(2.54mm)が基準になっており、これらを全てメートル系に変更するのは困難と思われる。

これはヤード・ポンド法を頑なに変更せず、この分野をリードしてきた米国が原因とも言えるが、どこにもこのような例はある。

日本は、尺貫法からメートル法への切り替えをほぼ確実にこなしているが、SI国際単位系への切り替えができていないものもある。自動車のエンジン出力の表示には、SI単位でのキロワット(kW)ではなく、馬力(hpPs)が使われている。これなど、これまでの慣れや意識が起因している。

数字に強いエンジニアって何? (What is an engineer who is good with numbers?)

 

「数字に強いエンジニアになってくれ」と言った経営者がいた。

 

数字? 何の数字だ? いつも数字を扱って計算しているが。MTBF、強度計算、熱計算、消費電力、等々しょっちゅう数字を使って計算しているのだが。

 

彼の言いたかったのは、経営に関する数字だ。

 

たしかに、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)やキャッシュフロー計算書(C/F)といった財務諸表を隅々まで読める技術者は、ほとんどいないと思う。日々の売上高の進捗状況を事細かく知っているのもごく少数であろう。

 

技術者は、経理でもなければ、営業でもない。逆に彼らに自社製品の性能や品質に関する数値を細かく問うても、ほとんど答えられないと思う。役割分担とはそういうものだ。

 

技術者といえども、大まかな経営状況を知っておく必要はあるが、事細かな経営数値まで知っていることは必ずしも必要ではないと思う。

 

  英訳版の追加は、今回で終了。

 

 

English Translation

 

I once had a manager who said to me, "Be an engineer who is good with numbers."

 

Numbers? What numbers?

I always use numbers to calculate. MTBF, strength calculations, heat calculations, power consumption, and so on.

 

What he meant was numbers related to management.

 

It is true that there are very few engineers who can read every detail of financial statements such as balance sheets (B/S), profit and loss statements (P/L), and cash flow statements (C/F). There are also very few who know the details of daily sales progress.

 

Engineers are neither accountants nor salespeople. On the contrary, if you ask them for detailed numbers about the performance and quality of their company's products, I don't think most of them would be able to answer. That's how roles are divided.

 

Even engineers need to know the general business situation, but I don't think it's necessarily necessary for them to know the detailed business figures.

 

This is the last time I will be adding English translations.

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