他力本願

 

「他力本願」とは本来は仏教用語であるが、一般的には「他人に依存する」といった少し異なった意味で使われている。今回は、この一般に使われている意味で使ってみたいと思う。

 

現在、世界に大きな影響を与えつつあるのがアメリカ一国主義だが、これを一般企業・会社の中での出来事に例えると、次のようになるのではないだろうか。

これまで実務や管理に卓越した能力を持つスーパー上司に依存して業務をなんとかこなしてきていた。しかし、最近になってその上司がやる気を失い、部下の面倒を見なくなってきた。能力そのものはまだあるのだが、管理業務を放棄し、時々転職や退職もちらつかせている。これまで、彼におんぶに抱っこで頼ってきた部下たちは途方に暮れている。元に戻ってもらいたいのだが、皆でまとまって話をすることなく、自分だけが何とかしてもらおうと個別に忖度を繰り返し、いわば「囚人のジレンマ」状態になっている。

 

よくよく考えてみれば、一番の原因は他人任せ(他力本願)で業務を続けてきたことにある。例えどんなに優秀なスーパー上司であっても、心変わりすることもあれば、その能力を失うこともある。いなくなることもある。場合によっては、逆にライバルになることもある。

すべて他人任せの他力本願でなく、いざという時には自力で切り抜けられるように実力を蓄え、その時に困らない準備をしておく必要がある。

電気の基礎講座(オンライン)を改定

 

電気の初心者向けのオンライン講座「電気の基礎講座(オンライン)」を改定した。

従来1コースのみであったのを、標準版簡易版の2コースとした。名前の通り、簡易版は標準版より易しい内容となっている。

 

中学の数学と理科の学力があれば、理解できる内容の講座であったが、実際に行ってみると、多くの方が中学で習ったことを忘れて、出来なくなっている

例えば数学では、分数の足し算に苦労する人がいる。三平方の定理などすっかり忘れている。

中学の理科で、オームの法則などは学習しているのだが、すっかり忘れてしまっている。(本講座では、オームの法則などについては解説している)

受講される本人は、中学で習った程度のことなら簡単だと思っているのだが、それらの知識を使う機会がないため、すっかり忘れている。仕方がないことではある。

 

それに対応するため、従来の内容を標準版とし、さらに内容を易しくした簡易版を追加した。受講到達目標レベルは若干低くなるかも知れないが。

事前にレベルチェックをして、コースを選択要望によっては講義内容のアレンジも行うこととした。

 

  講座の詳細については「電気の基礎講座(オンライン)」のウェブサイトでご確認ください。

CADが使えることと設計ができることは別

 

設計はCADを使って行うのが普通になっている。設計業務には、CADの使用がほぼ必須である。

 

では、CADさえ使えれば、設計はできるのであろうか?

世の多くの人が、「CADが使える = 設計ができる」と思っている。CADを習得すれば設計者になれると思っている。

CADは道具である。魔法のツールではない。CADができる前は、ドラフターを、その前はT型定規や3角定規を使っていた。3角定規は小学生でも使える。となれば、設計は小学生に任せればよくなる。

 

CADには、図面作成だけでなく、設計検証、シミュレーション、解析、CAD-CAMとしての連動など多くの機能がある。しかし、あくまで道具だ。考える(アイデア、発想)のは人間である。

良い設計ができるか否かは、設計者の経験も含めた能力に依存するもので、道具(CAD)はそれを支援するだけである。

 

結論は、「CADが使えるだけでは、設計はできない」である。良い設計者になるには、工学を学習し、実務経験を積むことが必須、そして本人の才能である。

納入先が事業売却

 

企業の売却買収が増えている。企業そのものでなくとも、事業単位での売却や買収も多く行われている。B to Bの取引において、納入先がその事業を売却し別の会社に引き継がれた場合、どうなるのであろうか。

 

私も実際にそれに出くわしたことがある。

幸い、事業そのものに大きな変化はなく、製品の開発や納入もそのまま継続された。事業所まるごとの売却・買収であったため、その製品の担当者に変更もなかった。

そのため、継続が途切れて話が通じないことはなかったのだが、やはり細かい点で要求が変わった。

仕様に関しても、大まかには変わらないのだが、細かい点で移った会社の規定に合わせた変更が要求されてきた。それと同時にコストダウン要求も追加された。

対応のために設計変更することになったのだが、結局のところ再設計がほぼ新設計となってしまう部分も多く、結構な手間となった。変更によって製品の品質や性能が向上するわけでもなかったので、設計する側としてはテンションが上がる仕事ではなかった。

しかし、会社としては製品を継続使用してもらえるので、ありがたいことであった。

 

納入先の企業が事業売却をした場合、その事業を買収した企業が納入品を継続購入してくれることになった場合でも、新会社の規定に合わせた仕様の変更要求が発生する場合があり、設計変更となる可能性がある

国際標準

 

TV番組WSSで、日本が「技術で勝って、ビジネスで負ける」という問題を取り上げていた。

その例として、IDEC押しボタンスイッチの問題をとり上げていた。同社の押しボタンスイッチはφ25mmの穴に取り付けるのを標準としていたが、国際標準ではφ22mmとφ30mmが採用されてしまい、それまで高かったシェアを大きく落としてしまったとのこと。世界標準を決める話も知らなかったとのことであった。

 

過去にも、携帯電話のiモードが当時世界最先端であったにもかかわらず、世界標準にしなかったためガラパゴス化して消滅し、現在のスマホに置き換わっている。

三菱のスペースジェット(旧MRJ)も国内規格で開発を進めていった結果、アメリカの安全規格をとれずに挫折している。

モノとしてその性能や信頼性は高く、決して悪いモノではなかったと思う。

 

問題は、独占ではなく仲間をつくらないと国際標準にならないということだ。この辺の話になると、単に技術の問題ではなく、経営判断や政治的な駆け引きも必要になってくる。それを怠ってきたため、「ビジネスで負ける」という現象を引き起こしてきたと思う。

世界でシェアを取りたければ、独占ではなく仲間を増やし、そのうえで駆け引きも必要であろう。

国内だけであれば国内の業界標準で事足りるが、世界を相手にしたければ、国際標準が必要だ。

知識の引き出しは、浅く広く

 

以前に、ある集まりの懇親会で話をしていたところ、「それが私の仕事や会社と何の関係があるのか?」と言った人がいた。雑多な業種の人が集まって話をしているのだから、直接今の自分に関係のない話が多いのは当然である。そもそも、こういう場の目的は人脈を作ることと、新しい知識や気づきを得ることだ。相手が望んでいる話をしてくれるとは限らない。むしろ、そんなことは稀である。

 

大切なことは、今関係ないと言って切り捨てるのではなく、将来必要になるかも知れないと考えて、記憶の片隅にとどめておくことだ。そんな場だから深い話が出るわけではない。しかし、自分の知らなかった話を聞くチャンスではある。もちろん、更に内容について尋ねれば、相手は答えてくれる。


こういう場を利用すれば、浅く広く出あるが自分の知識をひろげることが出来る。それが知識の引き出しになる。とりあえず引出しに入れておく知識は浅く広くで構わないのだ。必要になった時、その引出しを開け、それから更に深く調べたり学んだりすればよい。

引き出しがないと、それを探すところから始めることになる。

国際卓越研究大

 

国際卓越研究大」の2回目に、大阪大学、京都大学、早稲田大学、東京大学、九州大学、東京科学大学、筑波大学、名古屋大学の8大学が申請した。

国際卓越研究大学は、国が設立した基金の運用益を活用して、世界最高の研究水準を目指す大学を支援するものだ。初回は東北大学が選ばれ、今年度分として約154億円が助成されている。

 

多額の助成金をもらえるのは良いのだが、問題もあるとのこと。

その申請のために相当な時間をかけて準備をする必要があり、認定されたとしても進捗状況の報告をして評価を受ける必要があり、その分研究にかける時間が減ってしまう

公費を使う以上、申請・進捗報告・評価といったことは避けられないのかも知りないが、これらに多くのリソースを割いてしまうのは、本末転倒のような気もする。お金を与えて、時間を奪っているように感じる。

 

一般的に助成金をもらうには、結構たくさんの書類(申請書や報告書など)の提出が必要になる。昨年、「高度人材育成支援補助金」というのがあった。高度・専門人材の育成を目的とする社員研修に補助金が交付されるというもので、資金が潤沢でない中小企業には有益だと思った。しかし、申請に関する書類はかなり多く、年度の縛りがあるため年度をまたいでの計画が立てられないなどの問題もあった。

 

なぜ公的な助成金をもらうには、申請書類が膨大になるのだろうか。

ほとんどの目的が不正を防ぐためのようである。不誠実な使い方をしたり、ごまかしたりするのを防ぐということだ。

そんなことをする一部の輩のために、手続き書類が増え非効率になってしまうのは、嘆かわしい問題である。

 

  情報源:FNN Live News α

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