今回は税務調査の話だが、私が調査を受けたというのではない。会社員をしていた頃、ある研修で知り合ったグループ会社の人の話だ。
彼は、家を新築して引っ越したばかりだった。そんなある日、仕事を終えて帰宅すると、「税務署が調査に来た」と奥さんがオロオロしていたとのこと。予告なしで来たらしい。
通常、一般の会社員に税務調査が入ることはない。税金は給与から天引きされている。彼の場合、奥さんは専業主婦でパートやアルバイトもしていないので、申告漏れが発生することもないはず。
原因になりうるとすれば、家の新築か。しかし、銀行からお金を借りて返済していくローンを組んでおり、手続きも専門業者が行っていて問題ないはずだった。
なにも問題はなかったのだが、発端は近所の人の税務署へのタレコミだったとのこと。
実は彼、中古の車を買ったのだが数日で故障して、代車を借りていた。運がよかったのか悪かったのか、修理に出したディーラーにベンツしか車が空いていなくて、それが代車になった。
ところが、そんな事情を知らない近所の人は、「家を新築して、新車のベンツまで購入した。急に羽振りが良くなった、怪しい。」と思ってしまい、タレこんだ。
税務署が調べると、彼の実家は酒屋であることがわかった。税務署は、実家の酒屋からお金が流れ、住宅や車の購入に使われたのではないかと疑った。
「住宅の資金は自分で貯めた頭金とローンであり、車は代車ということで、嫌疑は晴れたのだが、実に迷惑なことだった。」と、彼は言っていた。