何か新しいことを提案すると、「前例はあるのか?」と聞かれることが多々ある。前例はないと答えると、リスクを理由に提案が不採用となることがほとんどだ。
この場合の「前例」とは、成功した前例であって。失敗した前例ではない。そして成功した前例があると、それを真似ようとする。
しかし、他人(他社)の成功事例を真似たからといって、成功するとは限らない。その成功からは時間が経過して社会情勢も変化しており、他の環境も異なる。
むしろ学ぶべきは、他人の成功ではなく、他人の失敗である。失敗の前例から学べば、失敗のリスクを減らすことが出来る。
自分の成功体験ならば自信につなげることが出来るが、他人の成功体験は「お守り」にしかならない。
そもそも、成功事例として公表されている内容には、不都合な失敗は省かれ、うまくいったことだけが載せられていることがほとんどである。言い換えれば、「きれいごと」しか公表されないのが通常だ。
学ぶべきは、過去の成功ではなく、過去の失敗からである。自分の失敗でも、他人の失敗でも構わない。それが、新しい挑戦の失敗リスクを下げ、成功確率を高めてくれる。