電気の基礎講座(オンライン)を改定

 

電気の初心者向けのオンライン講座「電気の基礎講座(オンライン)」を改定した。

従来1コースのみであったのを、標準版簡易版の2コースとした。名前の通り、簡易版は標準版より易しい内容となっている。

 

中学の数学と理科の学力があれば、理解できる内容の講座であったが、実際に行ってみると、多くの方が中学で習ったことを忘れて、出来なくなっている

例えば数学では、分数の足し算に苦労する人がいる。三平方の定理などすっかり忘れている。

中学の理科で、オームの法則などは学習しているのだが、すっかり忘れてしまっている。(本講座では、オームの法則などについては解説している)

受講される本人は、中学で習った程度のことなら簡単だと思っているのだが、それらの知識を使う機会がないため、すっかり忘れている。仕方がないことではある。

 

それに対応するため、従来の内容を標準版とし、さらに内容を易しくした簡易版を追加した。受講到達目標レベルは若干低くなるかも知れないが。

事前にレベルチェックをして、コースを選択要望によっては講義内容のアレンジも行うこととした。

 

  講座の詳細については「電気の基礎講座(オンライン)」のウェブサイトでご確認ください。

CADが使えることと設計ができることは別

 

設計はCADを使って行うのが普通になっている。設計業務には、CADの使用がほぼ必須である。

 

では、CADさえ使えれば、設計はできるのであろうか?

世の多くの人が、「CADが使える = 設計ができる」と思っている。CADを習得すれば設計者になれると思っている。

CADは道具である。魔法のツールではない。CADができる前は、ドラフターを、その前はT型定規や3角定規を使っていた。3角定規は小学生でも使える。となれば、設計は小学生に任せればよくなる。

 

CADには、図面作成だけでなく、設計検証、シミュレーション、解析、CAD-CAMとしての連動など多くの機能がある。しかし、あくまで道具だ。考える(アイデア、発想)のは人間である。

良い設計ができるか否かは、設計者の経験も含めた能力に依存するもので、道具(CAD)はそれを支援するだけである。

 

結論は、「CADが使えるだけでは、設計はできない」である。良い設計者になるには、工学を学習し、実務経験を積むことが必須、そして本人の才能である。

納入先が事業売却

 

企業の売却買収が増えている。企業そのものでなくとも、事業単位での売却や買収も多く行われている。B to Bの取引において、納入先がその事業を売却し別の会社に引き継がれた場合、どうなるのであろうか。

 

私も実際にそれに出くわしたことがある。

幸い、事業そのものに大きな変化はなく、製品の開発や納入もそのまま継続された。事業所まるごとの売却・買収であったため、その製品の担当者に変更もなかった。

そのため、継続が途切れて話が通じないことはなかったのだが、やはり細かい点で要求が変わった。

仕様に関しても、大まかには変わらないのだが、細かい点で移った会社の規定に合わせた変更が要求されてきた。それと同時にコストダウン要求も追加された。

対応のために設計変更することになったのだが、結局のところ再設計がほぼ新設計となってしまう部分も多く、結構な手間となった。変更によって製品の品質や性能が向上するわけでもなかったので、設計する側としてはテンションが上がる仕事ではなかった。

しかし、会社としては製品を継続使用してもらえるので、ありがたいことであった。

 

納入先の企業が事業売却をした場合、その事業を買収した企業が納入品を継続購入してくれることになった場合でも、新会社の規定に合わせた仕様の変更要求が発生する場合があり、設計変更となる可能性がある

国際標準

 

TV番組WSSで、日本が「技術で勝って、ビジネスで負ける」という問題を取り上げていた。

その例として、IDEC押しボタンスイッチの問題をとり上げていた。同社の押しボタンスイッチはφ25mmの穴に取り付けるのを標準としていたが、国際標準ではφ22mmとφ30mmが採用されてしまい、それまで高かったシェアを大きく落としてしまったとのこと。世界標準を決める話も知らなかったとのことであった。

 

過去にも、携帯電話のiモードが当時世界最先端であったにもかかわらず、世界標準にしなかったためガラパゴス化して消滅し、現在のスマホに置き換わっている。

三菱のスペースジェット(旧MRJ)も国内規格で開発を進めていった結果、アメリカの安全規格をとれずに挫折している。

モノとしてその性能や信頼性は高く、決して悪いモノではなかったと思う。

 

問題は、独占ではなく仲間をつくらないと国際標準にならないということだ。この辺の話になると、単に技術の問題ではなく、経営判断や政治的な駆け引きも必要になってくる。それを怠ってきたため、「ビジネスで負ける」という現象を引き起こしてきたと思う。

世界でシェアを取りたければ、独占ではなく仲間を増やし、そのうえで駆け引きも必要であろう。

国内だけであれば国内の業界標準で事足りるが、世界を相手にしたければ、国際標準が必要だ。

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