事前準備

 

営業から客先同行を頼まれ、大いに困ったことがあった。

私にとっては訪問したことのない顧客であり、何の件名なのかもわからない。依頼した営業マンに尋ねても、「とりあえず来てください。顔見せでよいので」という返事しか返ってこない。

仕方がないので何もわからずに訪問したところ、客からはかなり詳細な話が出てきた。全体像を把握していないので、何かを聞かれても答えようがない。というか、わからないことだらけだ。

客にしてみれば、営業と技術の両方が首をそろえて来たのだから、その場で答えをもらえ、検討や打ち合わせができるものと思っている。

営業だけの訪問であれば、「技術的な部分は確認して後で返答します。」ということが出来る。技術だけだったら、「費用の問題もあり、可否については後で返答します。」と即答を避けることが出来る。しかし、両者が一緒に訪問したらそうはいかない。当然、かなりの部分で即答を求められる

 

技術として訪問する以上、その件名の全体像を把握し、目的、おおよそのコスト、スケジュール、問題点などを確認し、それらに対する回答や別提案を考えておくべきだ。技術的な仕様打ち合わせは、ある意味「戦い」なのだ。顧客の意向を尊重しながら、こちらの希望する方法で事を進めるのが理想だ。そんなところに、何の事前準備もせずに丸腰で出かけて行っては、最初から勝敗は決まっている。つまり、事前準備が重要なのだ。

オンライン講座の難しさ

 

オンラインでの講座を始めて約半年になるが、対面とは勝手が違う。

一番大きいのが、受講者の反応がわからないことだ。

 

対面であれば、受講者が理解したのかそうでないのか、この部分はもっと詳しく話した方が良いのか、それとも話し方を変えて伝えた方が良いのか、また逆にさらりと端折ってしまった方が良いのか、受講者の反応を見ながら判断できる。

しかし、オンラインではこれがわからない。「質問はありますか?」と尋ねても返送が来ない、理解してもらったものとして次に進むことになる。

さらに、受講者のレベルも様々だが、それも把握できない。

 

先日、ある講座受講の責任者の方から、実は理解できていないという連絡をもらった。具体的にどの部分がわからないのか不明だったが推測して、次回以降の講座の内容を改訂することにした。(「電気の基礎」オンライン講座は全13講座なので、改訂は結構大変)

これで、うまくいってくれると良いのだが。

ものづくりワールド見学

 

昨日、「ものづくりワールド名古屋」に行き、セミナー受講と展示ブースの見学をしてきた。

 

結構盛況で、通路を歩くにも人が多くで歩きにくい状態だった。そこに、粗品を配っての客引きがあるので、更に混雑する。集客目標(あるいはノルマか?)があるのかもしれないが、それが実際の商談に発展するのだろうか?

 

今回は、セミナー受講をメインにし、その間の時間でブースを回って見学した。

セミナーでは、日本が抱える製造業の課題、カーボンニュートラルへの取り組み等を聞くことができた。いずれも、一筋縄で簡単に解決できるものではなく、そのアプローチの仕方も立場が変わればそれぞれのようだ。

例えば、車に対するCO2の問題にしても、EVにしたとしても充電する電気を作るのにCO2が発生する、その前に車そのものを作る段階でCO2が発生する、それのリサイクルでは、と単純な話ではない。

また、技術継承と設備更新という課題もある。

 

色々考えさせられる一日だった。



社員のスキルアップと経営者の器

 

イノベーションが生まれない、生産性が上がらない、産業構造の新陳代謝が進まない、当然企業は成長しない、日本経済の問題である。

 

対策の一つとして、リカレント、学び直し、スキルアップ、等々の必要性が報じられているが、あまり進まない。原因は何だろう? 

 

これらは、社会人になってから再度勉強をすることである。いったん仕事を中断あるいは辞めて、学生になって勉強をし直すには、休職、再就職といった社会制度が整っていない。それでは、仕事を続けながら勉強することになるが、結構大変ではある。

 

学習して、新しい知識を身に付けたり、資格を取ったりするのだが、それによって今以上の何かが得られることが必要で、それがモチベーションになる。

 

ところが困ったことに、そういった社員の努力を評価しない企業が存在する。自己学習している(あるいはしようとしている)社員に協力しない、ひどい場合には邪魔をする。

勉強して取得した資格を評価せず、新しく得た知識も無視して活かそうとしない。

 

そして、それらの企業の経営者から聞こえてくるのが、「それらを評価すると、給与アップに繋がってしまう」、「下手をすると、転職されかねない」といった内容だ。

 

そんなことを言っているようでは、経営者の器が小さい。スキルアップした社員を活かして業績を伸ばし、それをその社員に還元してあげれば、企業と社員の双方がWin Win の関係になれる。給与アップもできるし、社員の転職も防げる。それでも転職するなら、それは組織の新陳代謝だ。

 

プロスポーツのチームで、移籍されるのが嫌だから選手の能力は向上させない、練習量を減らす、選手が個人タイトルを取るのを妨害する、なんてことは絶対にしないはずだ。優勝すると年俸を上げなければならなくなるので、勝たない方がよいなんてことは言わない。そんなチームは試合で勝利できず、チームとして存続できなくなってしまう

 

企業も同様である。目先のことしか考えない器の小さな経営者では、企業は伸びない。

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