営業から客先同行を頼まれ、大いに困ったことがあった。
私にとっては訪問したことのない顧客であり、何の件名なのかもわからない。依頼した営業マンに尋ねても、「とりあえず来てください。顔見せでよいので」という返事しか返ってこない。
仕方がないので何もわからずに訪問したところ、客からはかなり詳細な話が出てきた。全体像を把握していないので、何かを聞かれても答えようがない。というか、わからないことだらけだ。
客にしてみれば、営業と技術の両方が首をそろえて来たのだから、その場で答えをもらえ、検討や打ち合わせができるものと思っている。
営業だけの訪問であれば、「技術的な部分は確認して後で返答します。」ということが出来る。技術だけだったら、「費用の問題もあり、可否については後で返答します。」と即答を避けることが出来る。しかし、両者が一緒に訪問したらそうはいかない。当然、かなりの部分で即答を求められる。
技術として訪問する以上、その件名の全体像を把握し、目的、おおよそのコスト、スケジュール、問題点などを確認し、それらに対する回答や別提案を考えておくべきだ。技術的な仕様打ち合わせは、ある意味「戦い」なのだ。顧客の意向を尊重しながら、こちらの希望する方法で事を進めるのが理想だ。そんなところに、何の事前準備もせずに丸腰で出かけて行っては、最初から勝敗は決まっている。つまり、事前準備が重要なのだ。