生成AIで「フェイク論文」が作られ、研究者の名前が無断で使用されるという事件が発生している。専門家によれば、生成AIは特定の人物の特徴を取り込んだ文章を作れるとのこと。
フェイク、偽物、贋作と呼び名は色々あるが、これまでも長く作られてきた。美術工芸品、サイン(署名)、宝飾品等に多い。そして、その判定をする鑑定士という職業もあり、鑑定結果を示した鑑定書も作られてきた。
そして、ほとんどの場合、これらにはハードとしての現物が存在する、または確実なオリジナルがある。フェイクは、全くオリジナルと同様のものにはならないということを前提に、作風鑑定、筆跡判定、物質測定、同位体年代測定などで判定されてきた。
「フェイク論文」の場合、オリジナルを無断で使われた著作権侵害というより、文書の偽造と考えた方が良いのかもしれない。さらにAIが進化すれば、その人の文章の書き方(特徴)から判断するのは不可能になっていくだろう。
昨今、SNSによる偽ニュースとそれによるデマ、フェイクサイト(偽サイト)、フェイク画像、知的所有権侵害などの問題が多く発生している。
これらは、AIの進化によってますます巧妙になっていくことが予想される。
AIは非常に便利なツールであり、私もよく使用する。いつの時代においても、新しい技術が出てくると、それを悪用することも横行する。
AIそのものに罪はないが、それを使う人の理性、モラルが重要になってくる。
技術の善悪は、それを使う人のモラルに依存する。