リカレント教育に関するセミナーがあったので、参加してみた。
人生の健康とリカレントという医学的な立場からの話の後、大学や短大・高専等4つの教育機関のリカレント器養育への取り組みについて説明があった。それぞれの器養育機関が様々な取り組みをしており、それぞれ何かの問題を抱えているとのことだった。
話を聞いていて、気になったり、考えさせられたりすることがあった。
気になったのは、リカレント教育と生涯学習を混ぜこぜにして語られることが何度かあったことだ。リカレント教育は、社会人がその途中で学びなおしをすることによって、新しい知識やスキルを得て、自分の職業人生に活かせることを目的としている。それに対し、生涯学習はその人の生涯を豊かにするために学び続けようとするもので、目的が違う。内容や取り組み方法も同じにはできない。
問題点として共通しているのが、時間の取れない社会人に対する対面教育の難しさである。具体的に話された内容だと、2部(夜間)の授業とはいっても17:50開始のため、出席が困難になるとのこと。毎日完全な定時退社をして授業に間に合わせるのは確かに難しいと思う。働き改革と言われているが、現実として毎日定時退社を続けるのは難しいだろうし、気も引けるだろう。履修年限を長くする、土日に授業を設けるなどの工夫もあるようだが、公立の教育機関ほど制約が多いとのこと。
欧米では、一度仕事を離れて学びなおしをするというスタイルが多くあるとのことだが、日本の場合それができにくい環境にある。退職をして学びなおしをすれば、時間は十分に取れるが、そのあとの就職が不安になる。かなり一般的になってきたとはいえ、転職に対するハードルは高い。休職をしてとの方法もあるが、勤務先でその許可をえるのは簡単ではない。
対面授業ではなく、通信教育、オンライン・オンデマンドといったウェブの利用であれば、ある程度時間の問題は軽減できる。しかし、効果を考えれば、対面に勝るものはない。私も一度リカレント教育を受けている。技術者として働きながら、マネジメントを学ぶために大学に編入学した。受講方法は通信教育、これしか時間が取れない。テキストによる自習、リアルタイムでのオンライン授業、オンデマンドによる授業、スクーリングでの対面授業があったが、一番よかったのは対面授業であった。教員と直接顔を合わせて話ができることに加え、他の受講生に囲まれると仲間意識ができモチベーションが上がるのだ。
人生100年時代といわれ、終身雇用も消滅しつつあり、科学技術の進歩による社会の急速な変化が起こっている。となれば。学びなおしであるリカレント教育は必須であり、教育制度とそれに対する社会の仕組みや個人個人の考え方も変化していく必要があると思う。