多くの人が考えている標準的かつ理想な生涯プランは、義務教育終了後、高校や大学に進学して進路を決めて勉強、その後就職してその職で職業人生を全うし、年金生活をする、というものであるようだ。
これが実現できれば、ある意味平穏な人生をおくれる。しかし、現実はどうであろうか。生涯の中で、一番長いのが職業人生、つまり働いている期間である。
社会は進歩し、必要とされる職業、仕事、スキルも変化していく。一生で働いている期間は40~50年程度と思われるが、その間に社会はどれだけ変化するだろうか。
社会が変化すれば、新しい仕事が必要となるだけでなく、不要になる仕事も発生する。例えば、自動改札機が誕生・導入されたことで、駅の改札の切符切りの仕事はなくなった。ワープロソフトが使えるPCを各自が持つようになり、タイピストは不要になった。ワンマンバスの運行で、車掌が不要になった。等々、多くの職業・仕事が消えている。
スーパーマーケットやコンビニエンスストアのレジが自働化されつつある。銀行は窓口業務を減らそうとしている。受付が無人の企業も増えてきている。AIの進歩で、定型業務が置き換えられるという話も出てきている。士業と呼ばれる人の業務も置き換えられるのでは、という予測も出ている。
こう見てくると、一度覚え身に付けたら一生安泰な職業・仕事はない。職に就き、苦労して得たスキルも陳腐化する時がやってくる。
となれば、その時に備えて次のスキルを身に着けておく必要があるだろう。スキルを身に着けるには時間がかかる。その時になってからでは遅いのだ。
失職者に対する職業訓練もあるが、それはスキルを身に着けるより、職を得ることが優先されており、もちろん内容の選択肢も少ない。将来を考えたスキルアップではなく、将来性に関係なく、とりあえず早急に職を得る手段でしかない。
現在の職・仕事が安定している内に、将来のためのスキルを得ておく必要がある。