足し算の発想と引き算の発想

 

何かを考える場合、足し算の発想と引き算の発想がある。

足し算の発想は、「○○をしましょう」という推奨の発想である。それに対し引き算の発想は、「○○をしてはいけません」という禁止の発想である。

 

どちらが良いのだろうか。もちろん一長一短があり、どちらか片方では困るので両方必要だ。どちらかに偏るのではなく、バランスが大事ではある。

 

日本人の発想を見ていると、引き算の発想が多すぎるように感じる。

公園で、「木の枝を折ってはいけません」とは書かれていても、「木を大切にしましょう」という記述はあまり見ない。

仕事をする場合でも、失敗を先に考えてしまって前に進めない。

業績評価においても、成し遂げた場合は別として、挑戦したことより失敗したことに注目する。そのため、新しいことに挑戦して失敗するより、何もせずにやり過ごすことが選ばれがちになる。

給与を上げることより、物価を上げないことを優先する。結果として、実質賃金の目減りを招いてしまっているのが昨今の状況である。

 

引き算の発想が限度を超えると、その原資を食いつぶしていくことになる。原資がゼロになれば、引けなくなる。物価を上げないために人件費を下げ続ければ(一部の企業ではこれを企業努力と言っている)、最終的に人件費をゼロにしなければならなくなる。つまり、材料費等が上がり続ければ、その分人件費を削ることになり、材料費等と価格が同じになれば人件費はゼロである。引き算だけで発想すれば、このようになる。

 

足し算の発想でいけば、材料費が上がれば価格に転嫁し、それにより物価が上昇するので従業員の給与(=人件費)も上げる。従業員は消費者でもある。価格を上げても購入してもらうには、消費者の収入を増やす必要がある。これが市場原理である。

 

人の評価においても、失敗しなかったことより、たとえ失敗しても挑戦した人を高く評価するべきである。失敗しても、それから何かを学んで再度挑戦することが大切なのだ。

むしろ、失敗を恐れて何もしなかった人を減点すべきではないか。

 

経済を活気づけるには、足し算の発想を増やすことが大切ではないだろうか。

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