IMF(国際通貨基金)の推計によると、来年インドのGDP(国内総生産)が4兆3398億ドルとなり、日本の4兆3103億ドルを抜いて、世界代4位なるとのことだ。昨年の予測では、逆転するのは2026年とのことであったが、円安のためドル換算した日本のGDPが目減りし、1年早まるとのこと。
過去最高業績をうたう企業も多いが、円ベースでみた場合であって、ドルベースで見るとそうでもない。円安は輸出企業に有利といわれるが、日本のGDPは輸出よりも国内消費によるものの方が大きい。輸出といっても、海外で販売するものは実際には現地生産が多く、その販売数が伸びているわけではない。つまりドルベースでの売り上げが増えたわけではない。しかし、これを円換算して日本の決算に反映すると、円安のおかげで過去最高売り上げとなる。つまり、現状維持をしていれば、円安のおかげで円ベースでの業績が伸びる。これに甘えて、企業が努力を怠り、国際競争力を失ってきた。
通貨レートを直接感じるのは、海外旅行をした時だ。2001年にオーストラリアに行った時、現地の物価がえらく安く感じ、天国のように思えた。当時のレートは、1オーストラリアドル=60円 程度であった。今は約100円だ。物価変動がなかったとしても、約1.7倍になっている。さらに日本はデフレが続き物価上昇していないので、現在では2倍以上の開きとなってしまっている。つまり、オーストラリア人から見れば、日本の物価が彼らの半分以下になる。来日する外国人が、安い安いというはずである。
米ドルのレートでは、最も円の高かった時が1米ドル=75円、そして今は155円である。裏を返せば、日本人の資産が半分以下に目減りした(=貧乏になった)ということだ。
これまで、盲目的に円安を喜んできたツケが回ってきたたように思える。