失われた30年の本質とは?

 「失われた30年」を抜け出すことは出来るのだろうか。株価は、一旦過去最高値を付けた後、やや調整状況になっているが、その様相を見せている。賃上げも、大手企業から中小企業まで広まりつつあるようなニュースも流れている。来年以降もこの状態が続くのであれば、期待できるのかも知れない。

 昨年107日の日経電子版に、暗黙知/形式知(SECIモデル)を提唱した経野中郁次郎氏が著書である「失敗の本質」を通じて、失われた30年について語っているので取り上げてみたい。

 野中氏は、企業におけるPDCAにおいても、P(計画)とC(評価)ばかりが偏重され、D(実行)とA(改善)に手が回って来なかったと言っている。計画や手順に完璧を求めた計画偏重は環境変化に対する思考停止を生む。

これらは、事なかれ主義やリスク回避、忖度の文化を生まれやすくする

 野中氏の著書「失敗の本質」は、旧日本陸軍の戦略のあいまいさ、短期志向、集団主義、縦割り、異質性の排除といったことを取り挙げているのだが、失われた30年においても、根底にある問題は同じであったと言っている。

 確かに言われてみれば、「前例はあるのか」、「様子を見ながら」、と言って新しいことに手を出したがらないことが多々あるように思う。通常の生活においても、「危ないことに手をださずに」「ほどほどに」「これに懲りて」「寄らば大樹の陰」等の文言がある。善意に解釈すればその通りなのだが、見方を変えればリスク回避で消極的、事なかれ主義にも通じる。

 高度成長期の日本は、ハングリー精神でリスクを克服していたと思う、しかし、バブル崩壊を経てそれがなくなり、残ったのは成功体験だけだったようだ。

野中氏は「考える前に感じろ」が成功の本質だと訴えている。

 私は、「失われた30年を脱却できるかは、株価や賃金だけの問題ではなく、リスクを取って新しいことにチャレンジするマインドを復活できるかにかかっている。」と思う。

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