昔、ある人からこんな話を聞いたことがある。
「お金を借りる(ローンを組む)場合、開業医の歯医者さんより、そこに勤務している事務員の方が信用度が高い」
どういうことかというと、開業医である歯医者さんは個人事業主で、月々の収入は一定ではない(=不安定)。それに対し、そこに勤務している事務員は給与所得者であるため、月々の収入は一定額で安定しているからだというのだ。
何かおかしい。確かに毎月の収入を見れば、額の大小を無視すれば勤務している事務員の方が安定している。しかし、その給与を支払っている開業医が経営難に陥れば、そこに勤務している事務員はもろにその影響を受ける。雇用主が廃業すれば、被雇用者は失業するのだ。
もっとも、この話は極端な例としての話で、現実ではもっと審査が入るのでこの通りにはならないと思うが。
一般社会にも、これによく似た傾向がある。
個人で事業をしている人、特に開業したばかりの個人事業主と聞くと、経済的に大丈夫なのだろうか、続けられるのだろうか、不安視する人が多々いる。それは、理解できる。
しかし、そこに雇われて働くとなると、誰もそんな目では見ない。安定した職業に就いたと見る。
これも、妙なことだと思う。