信用度

 

昔、ある人からこんな話を聞いたことがある。

お金を借りる(ローンを組む)場合、開業医の歯医者さんより、そこに勤務している事務員の方が信用度が高い

 

どういうことかというと、開業医である歯医者さんは個人事業主で、月々の収入は一定ではない(=不安定)。それに対し、そこに勤務している事務員は給与所得者であるため、月々の収入は一定額で安定しているからだというのだ。

何かおかしい。確かに毎月の収入を見れば、額の大小を無視すれば勤務している事務員の方が安定している。しかし、その給与を支払っている開業医が経営難に陥れば、そこに勤務している事務員はもろにその影響を受ける。雇用主が廃業すれば、被雇用者は失業するのだ。

もっとも、この話は極端な例としての話で、現実ではもっと審査が入るのでこの通りにはならないと思うが。

 

一般社会にも、これによく似た傾向がある。

個人で事業をしている人、特に開業したばかりの個人事業主と聞くと、経済的に大丈夫なのだろうか、続けられるのだろうか、不安視する人が多々いる。それは、理解できる。

しかし、そこに雇われて働くとなると、誰もそんな目では見ない。安定した職業に就いたと見る。

これも、妙なことだと思う。

チャンピオンデータ

 

通信機器のサービスエンジニアをしていた時のことだ。

新規の顧客が、その性能に満足してくれない。機器の設置時にも問題なく、運用後の保守点検でも問題は見つかっていなかったのだが、なぜか不満のようだ。

 

確認すると、機器の導入に際して、営業から提示されたデータサンプルと実際との差が大きく、そのサンプルデータの内容が一度も再現できていないとのことだった。

顧客に頼みそのデータを見せてもらった。たしかに素晴らしい記録だった。データを持ち帰って社内で確認をしたところ、製品の試験で記録をとった内のチャンピオンデータであったことが判明した。

 

チャンピオンデータは、全ての環境が最良で、測定を繰り返すうちに発生したほぼ再現困難な最高記録のデータだ。実際の運用で再現されることはないといってよい。

 

担当した営業は、受注したい一心でチャンピオンデータを顧客に提出したのであろう。

本来これは、社外秘に該当するデータ、顧客にみせてもらっては困るものだ。どのようにしてその営業がデータを入手したのかは不明だが、あってはならないことであった。

 

試験的に何度も繰り返し測定したデータであったとしても、その取り扱いには要注意である。特に、社外への持ち出しについては十分な注意と管理が必要だ。

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