PCロックと不正

 

ネットのニュース記事に、「離席する時は必ずPCをロックする。」というのがあった。理由は、「離席中のPCから、セクハラまがいのメールを送られてしまった」ことがあったためとのこと。

たしかに、悪意をもってすれば容易くできてしまう。そのメールを受けた人にとって、ほぼ完全な「なりすましメール」になる。

 

思い出すと私も、いたずらで同僚のPCの壁紙を変更したことがあった。びっくりさせて笑い話で済んだが、今考えるとやり方によっては大変なことになっていたのかも。

 

PCを使わなくても、この手の「なりすまし」は、私の周りにも思い出すだけでもけっこうあった。

 

書類作成時に本人の許可なくデータ印を押す、デスクの中から印鑑を見つけ稟議書に押印するといったものがあった。私も、知らないうちに作ってもいない書類の作成者にされてしまったことがあった。

上司の離席時に許可なく見積書の承認欄に押印し、それを顧客に提出した営業社員がいて、大問題になったこともあった。

ある営業社員は、たくさんの名前の三文印を取り揃えていた。彼の話によると、契約書の訂正をする時に、その都度顧客に印鑑をもらいに行く手間が省けるとのことだった。

 

これらは印鑑に関わる不正で、現在は印鑑が減り、サインに置き換わってはているので減ってはいると思う。しかし、どんな不正が行われるかわからない。

少なくとも、離席時のPCロックと施錠による印鑑保管は必要だと思われる。

税務調査

 

今回は税務調査の話だが、私が調査を受けたというのではない。会社員をしていた頃、ある研修で知り合ったグループ会社の人の話だ。

 

彼は、家を新築して引っ越したばかりだった。そんなある日、仕事を終えて帰宅すると、「税務署が調査に来た」と奥さんがオロオロしていたとのこと。予告なしで来たらしい。

通常、一般の会社員に税務調査が入ることはない。税金は給与から天引きされている。彼の場合、奥さんは専業主婦でパートやアルバイトもしていないので、申告漏れが発生することもないはず。

原因になりうるとすれば、家の新築か。しかし、銀行からお金を借りて返済していくローンを組んでおり、手続きも専門業者が行っていて問題ないはずだった。

 

なにも問題はなかったのだが、発端は近所の人の税務署へのタレコミだったとのこと。

実は彼、中古の車を買ったのだが数日で故障して、代車を借りていた。運がよかったのか悪かったのか、修理に出したディーラーにベンツしか車が空いていなくて、それが代車になった。

ところが、そんな事情を知らない近所の人は、「家を新築して、新車のベンツまで購入した。急に羽振りが良くなった、怪しい。」と思ってしまい、タレこんだ。

税務署が調べると、彼の実家は酒屋であることがわかった。税務署は、実家の酒屋からお金が流れ、住宅や車の購入に使われたのではないかと疑った。

 

「住宅の資金は自分で貯めた頭金とローンであり、車は代車ということで、嫌疑は晴れたのだが、実に迷惑なことだった。」と、彼は言っていた。

技術的な了見が狭いボス

 

ある時、所属していた設計部門の責任者が替わった。そして、ある変化が発生した。

 

新たな設計を始めるには、方針、方法、計画を責任者である彼に説明することになったのだが、それらがほとんど却下される。そして、方法を彼の方から押し付けられる。

社内にそこまで発想を規制したルールはない。何のことはない、彼の好む方法、理解できる方法でしか設計できなくなってしまったのだ。斬新なアイデアはほぼ却下されてしまった。

 

ただし、新人は喜んだ。方針、方法、手順を示してくれるので。それらを考えなくてもよくなった。示された筋書きに沿って進めていけば。とりあえず設計できてしまう。

 

彼が示す筋書き(方針、方法等)に沿っていれば、設計業務をこなすことはできるので、ある意味楽だ。しかし、これでは新しいアイデアは生まれず、技術者としての能力も向上しない。設計能力が彼の理解の範疇に留まってしまい、それを越えられなくなってしまう。

 

確かに、他の部門と異なり、設計部門の責任者は大変である。絶えず新しい仕様やそれに関する新技術が持ち込まれ、本人の理解を超えることが多々発生する。通常のルーチン作業ではないのだ。

しかし、だからこそ部下の自主性、発想を認めなければならない完全に理解できなくても、それを承認し、何かあったときには責任を取らなければならないという理不尽さはある。だが、それをしないとその会社の技術的な成長は望めない。

 

追)このことが遠因となり、私は社を去ったので、その後についてはわからない。

「出来る/出来ない」と「やる/やらない」は別

 

製品を開発・設計し製造するにおいて、「実際にどこまでやるのか?」ということがある。

理論的に製作可能、設備・能力的に製作可能であっても、実際にその仕様で製作するとは限らない。

 

「出来るけれど、やらない」理由は多々あり、状況により異なる。

コストの問題、納期の問題、派生製品のスケジュールの問題、他の製品との問題、競合他社との問題、等々あり、これに営業的・戦略的な事柄が絡む。

 

ある製品において、変更の話が出ていて、それを実施するか否か、実施するならいつするか、が検討されていた。この件について、営業が納入先の顧客に説明をしていたのだが、うまく説明できていなかったようで、顧客から直接設計部門である私のところに電話が来たことがあった。

理論的に出来ることは説明できるのだが、実施の有無や時期については即答できない。この時は、コストの問題以外にも、部品在庫の問題が絡んでいた。

結局のところ、こちらは設計部門であるので、技術的に可能であることは説明できるが、それ以外については回答できないことを伝え、技術的・理論的な説明のみで了承いただいた。

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