「製品の不良ゼロをめざして・・・」、これは間違っていない。
しかし、製品Aの不良発生数が50個/月に対し、製品Bの不良発生数は1個/月であったとした場合、「製品Bではなく、製品Aに品質の問題がある。」と結論付けてよいだろうか。
製品Aは10万個/月の生産量であるのに対し、製品Bは100個/月の生産量である。
製品Aの不良率は0.05%、これに対し製品Bのそれは1%である。品質に問題があるのは、製品Bの方だ。
不良率が低くても、たくさん作れば不良発生数は多くなる。逆に生産数が少なければ、不良率が高くても不良発生数は少ない。
不良発生数を下げるには、不良率を下げるしかない。しかし、不良率の低い製品の不良率を下げるのは困難だ。不良率が低いほど、困難になる。
不良対応を行う部署にとっては、不良発生数が少ないに越したことはない。不良発生の絶対数を注視したくなるのは分かる。しかし、生産数が多くなればそれだけ不良発生数は増えるのであり、ある程度はやむを得ない。
もし、製品Bが今後増産される可能性があるのであれば、その不良率を下げることに注力すべきである。生産数が少ないからと高い不良率をそのままにしておいて、生産数が増えて不良発生数も増えてからでは手遅れになる。
不良発生の絶対数だけでなく、不良率にも注目し、問題の芽が小さいうちに対策しておくべきであろう。